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ブログ 2019.12.20 宮崎大学医学部主催の多職種連携教育コーディネーター育成講座に中川が登壇しました

先日、宮崎大学医学部地域医療・総合診療医学講座が主催する「多職種連携教育コーディネーターごちゃまぜ師養成講座」に中川が登壇し、ワークショップのファシリテーターを務めさせていただきました。

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今回の講座にお招きいただくきっかけとなったのが、UDSが今年度から手がけている、宮崎県都農町のまちの理想像を描くグランドデザイン提案業務です。

現在、都農町では宮崎大学医学部と連携し、まちの医療・介護・予防・生活支援を一体的にサポートする、地域包括ケアシステムの推進に取り組んでいます。都農町のグランドデザインを描く上で欠かすことのできない地域包括ケアシステムについて、都農町の担当者や宮崎大学の吉村学教授を交えて議論を進める中、今回の講座へお声がけをいただきました。UDSが大学の医学部と連携し、プロジェクトを推進するのは初の試みです。

多職種連携教育コーディネーターごちゃまぜ師とは

これからの地方都市では、人口減少や少子高齢化、医者不足といった様々な課題に直面すると言われています。そこで、吉村教授は医療に関わる医師や看護師、介護福祉士、保健師、理学療法士などの様々な専門家たちが連携して治療や介護に取り組むことが必要だと提言されています。その為には、患者さん一人ひとりに合ったコーディネイトやプランニングを行う必要があり、その役割を担うのが「多職種連携教育コーディネーター(ごちゃまぜ師※)」と話し、その人材養成を推進するための公開講座を平成28年よりスタートしました。

第3回目となる今回は、県内の医療福祉分野で活躍する現役看護師、保健師、ケアマネージャー(介護支援専門員)、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、社会福祉士、放射線技師など54名が参加されました。

※ごちゃまぜ師とは、吉村教授が「多職種連携教育コーディネーター」により親しみがわくようにという想いから名づけた呼び名です。

多職種連携教育(IPE)を実施するには、「場」を作り、「人」を集め、「コト」を設計する必要があります。そこにコーディネートの担い手がいることで、最初の一歩が必ず動き出します。私たちはそのコーディネーターを「ごちゃまぜ師」と名付け、宮崎大学の公開講座として、地域包括ケアシステム及び多職種連携について学びながら、地域の実情に応じて連携教育のコーディネートとプランニングを行うことができる人材養成に取り組むことにしました。(宮崎大学医学部地域医療・総合診療医学講座ホームページより)

これから必要になるスキルはファシリテーションのもう一歩先

UDSでは企画、設計、運営が一体となり、まちづくりにつながる住宅やホテル、商業施設、公共施設などの事業に取り組んでいます。

創業当初は「コーポラティブハウス」という、そこに住まう人々が主体となり、みんなで話し合いながら自由設計でマンションを作っていく事業からスタートしました。入居者の数だけ理想や想いがあるため、その間に立つ“コーディネイター”の役割はとても重要になってきます。入居者の皆さんと何度も対話を重ねながら、意見を引き出し、調整を行っていくことは容易ではありません。しかし、住宅の完成時には住人同士が仲良くなり、良いコミュニティが生まれていく様子をこれまで何度も目にしてきました。

そのコーポラティブハウスの考え方が、現在のまちづくりにも反映されています。市民や行政関係者、外部パートナーと直接対話をしながら新しいものを作っていくのがUDSのまちづくりの特徴です。

私自身もコーディネイターとして、コーポラティブハウスやキッザニア東京など数々のプロジェクトに携わってきました。それらの経験から、コーディネイターとして会議やミーティングの場において参加者の意見を引き出しながら、納得感を持って合意形成し、行動に導く「ファシリテーションスキル」の重要性をとても感じてきました。

さらに、これからの時代はファシリテーションスキルの「聞き出す力」と「合意形成する力」に加え、自ら新たなものを生み出す「generate(生成する)力」を備えた“ジェネレーター”の役割が、益々求められていくのではないかと考えています。(中川)

慶應義塾大学井庭崇研究室とUDSが共同研究している「パターン・ランゲージ」の手法を用いて、ジェネレーターのコツを15個のパターンで解説
慶應義塾大学井庭崇研究室とUDSが共同研究している「パターン・ランゲージ」の手法を用いて、ジェネレーターのコツを15個のパターンで解説

地域で多職種連携教育を進めるためのプラン作成

2日間に渡ったコーディネイター育成講座では、中川自身もファシリテーターとして参加し、ワークショップが進められました。1日目は参加者の出身地域ごとに分かれ、それぞれの地域で多職種連携教育を進めていくためのグループワークが行われました。

医療福祉の現場は、人の命を預かる真剣な現場。その緊張感は持ちつつも、多職種連携に携わる人たちがポジティブな気持ちで連携し合える環境づくりが大切。聞いている人が「やりたい!」と思える提案でなければ、実現できない。聞き手をワクワクさせるようなアイデアを考えてみてください!(中川)

はじめは苦戦するグループの様子も見られましたが、2日目のグループワークショップは各グループでまとめた内容を発表していきました。

とあるグループからは、地域の給食センターと連携し、子どもから大人、高齢者まで幅広い世代に食育プログラムを提供する提案が出たり、地域の空き家を利用した福祉活動の拠点となる場所をつくるという提案など、これまでにはない新しい医療や介護、生活サポートに関するアイデアが発表されました。

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新たにごちゃまぜ師となる皆さんへのメッセージ

各グループの発表後、登壇した各講師からの講評と共に、新たに誕生したごちゃまぜ師の皆さんに向けた、メッセージが送られました。

ごちゃまぜ師になる皆さんには、多職種連携に関わる人たちの中で、誰よりもワクワクしていて欲しいと思います。ごちゃまぜ師として、多職種連携に携わる人たちが、自分の仕事に誇りを持って、輝けるようにするという気持ちで取り組んでみてください。また、一緒に働く人へきちんと感謝の気持ちを伝えることも大切です。UDSでは、毎年サンクスパーティーやサンクスメッセージという取り組みを行っており、互いに感謝し合う文化や環境づくりも重要だと考えています。(中川)

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今回の講座を受講された受講生より多くの感想もいただきました。

ジェネレーターという言葉を初めて聞きましたが、自ら考え発言することの重要性を学びました。(参加者)

普段お話をする機会の少ない職種の方々の意見を聞く事もでき、とても有意義な時間でした。新たな刺激をいただき、ごちゃまぜ師として今後多くの方を巻き込んでいきたいと思いました。(参加者)

54名のごちゃまぜ師が誕生した今回の講座の中で、UDSが手がける都農町のグランドデザイン業務においても、たくさんの学びや気付きを得ることができました。
貴重な機会をいただき、ありがとうございました。