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ブログ 2019.12.13 エンドユーザー視点によるホテルデザイン〜企画・設計・運営のサイクルが生み出す仕組み〜

名古屋・東京・大阪で開催された「NEXT ANSWER LIXIL」特別セミナー(主催:株式会社LIXIL)にて、副社長の中原が「エンドユーザー視点によるホテルデザイン〜企画・設計・運営のサイクルが生み出す仕組み〜」をテーマに登壇。"日本の人口が減っていく中でホテル業界は何に取り組むべきか"を切り口に、UDSの強みである「エンドユーザー視点」「企画・設計・運営の連携とサイクル」についてお話ししました。

ユーザーニーズの多様化と意識するべきポイント

まずは時代とユーザーニーズの変化に合わせて、ホテルをつくる上で意識しているポイントを紹介します。

1.体験コンテンツを付加したホテル計画
思い出に残るもの、コトに意識を向けていく。一番難しいところでもありますが、ハードだけでなくソフトで何ができるかが大事だと思います。

2.行ってみたいと思わせるワンカット
ゲストがここに行ってみたい、体験してみたいと思わせる象徴的なシーンを作るワンカットが必要。例えば、コンパクトなホテル計画であっても、魅力的に映る大きめの客室を一部屋だけも作ることで、興味を持つきっかけを仕掛けています。

3. 利用者がホテルに期待するポイントが変化
ホテルへの期待が変化してきています。基本的な価値である3B(bed, breakfast, bath)以外の魅力のポイントをつくることが大事です。

4. 時間の流れに追随できるフレキシブルな空間構成と余白
詰め込んだデザインをしすぎると、そのデザインから抜け出すことができなくなってしまいます。時代の変化とともに古くなってしまわないように、ある程度の余白を作っておくことが大事です。

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エンドユーザー視点とUDSのホテル

UDSの企画・設計・運営で重視していることの一つが「エンドユーザー視点」。ホテル計画をする中でその視点に立ち返るために、意識しているポイントを紹介します。
企画・設計・運営がお互い尊重して常に議論して、大事な軸をしっかり守ることが大事。最終的にはお客様の満足を一番に考え、全員が賛成できることが理想です。そして失敗することもノウハウになるので、まずはトライアルしてみること。改善し進化させることが大事です。」

これらを実践する事例として、UDSのホテルでの取り組みをハード面とソフト面の取り組みの両方からご紹介しました。

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お客様にとって何が一番贅沢なのか?を考えるところが出発点でした。これまでであれば高価な調度品、サービスなどが贅沢とされていましたが、今は忙しい毎日の中でゆっくりとリラックスできる時間が一番贅沢なのではないかと考えたんです。"自分をリセットできる時間が欲しい"というエンドユーザー視点からデザイン、そしてサービスを作り上げました。

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▲好きな香りを調合できるバスソルト。お部屋でのリラックスタイムに

ホテル カンラ 京都

数あるホテルから選ばれるために、ここでしか見られない、体験できないことを用意しようと考えました。京都の伝統工芸品を買えるだけではなく、滞在中に実際に間近で見られる体験ができたらどうか、という発想から金継ぎのブースを設置した伝統工芸ショップを作りました。

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▲販売だけでなく職人の手しごとが見られるカンラのショップ

参加者の皆さんからの質問は企画から設計、運営まで

最後に、会場の参加者の皆さんからの質問に答えます。参加者はセミナーを聴きながら、質問を専用サイトに投稿する形で次々と質問が集まりました。質問内容はデザインだけでなく、運営やコンテンツ企画のプロセスにも及びました。

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Q.これからどんなホテルを手がけてみたいですか?
いつか日本で一番高価なホテルをやってみたいです。今、日本だと高くても一泊数百万円だそうですが、世界を見ると付加価値をつけて数億円の値段をつけるホテルもあるそうで、ぜひ機会があればチャレンジしてみたいです!

Q.UDSのホテル運営で、他のホテルとの違いは何がありますか?
お客様を一番最初に考えて、「手間がかかるからやらない」ではなく、「お客様が喜んでくれるのであればむしろそのひと手間をかけてやってみよう」という気持ちで取り組んでいることでしょうか。日頃からメンバー達には"一人ひとりがUDSを代表しているホテルマンだよ"と伝えています。

Q.ここにしかない体験コンテンツを作る際に心がけていること、また地域性をデザインに落とし込む際に大切にしていることは?
必ずその場所にいって、色々な人に出会うことが大事だと思っています。地元で活動されている方は、常にどうやったらその地域が盛り上がるか考えて行動されていますので、そのような人たちに会いに行きます。すべて一から自分たちで作ろうとするのは難しいですが、普段からその地域で活動している人を巻き込んで一緒に活動させてもらうのが良いと思っています。
例えば、ある地方都市で手がけているホテルプロジェクトでは地元のアーティストのお一人にお会いしたことをきっかけに、次々と才能ある方を紹介してもらえています。そしてただつながりを作るだけではなく、それをホテルで存分に表現いただけるように、そういったアーティストの方々を迎え入れる仕組みを作っておくことも大事だと思っています。

貴重な機会にお招きいただいたLIXIL様、全国3カ所の会場に足をお運びいただいた皆さま、ありがとうございました。