UDS LOG 0_39_03 材木を有効に 『井口さんは村の協力を経て、間伐材ヒノキの葉を用いた精油による香りを開発中』

間伐材を利用した由縁 新宿オリジナルアロマオイルの取り組み – 森林管理の現場を訪れて

 

このたび、ONSEN RYOKAN 由縁 新宿の開業時からお世話になっている、お香のjuttoku.さんとともに奈良の間伐材檜のチップに、檜、杉、黒文字を調合したアロマオイルをかけて香りを愉しむ「森の香箱」を共同開発しました。

この4月から、「森の香箱」をお楽しみいただける特別なプラン、”心身を潤す現代湯治滞在プラン”がスタートしています(プランはこちら)。

381cab77-23e6-4220-ad5a-cacba6c5253a

「森の香箱」は、奈良県 天川村の間伐材の、ヒノキの葉などを活用してつくられたもの。

「由縁新宿でお客さまへご提供するものとして、環境問題に配慮したお香づくりができないか」とjuttoku.さんへご相談したことから、サステナブルなお香づくりが始まりました。

そのプロセスを通して、日本各地の森林の多くが抱える問題を垣間見ることとなりました。

奈良県 天川村との出会い

juttoku.さんにはこれまでも、由縁新宿にさまざまな「香り」を提案いただいてきました。昨年春、由縁新宿の2周年記念にご用意した「湯治プラン」のためのお香もその一つ。そのお香が、juttoku.さんから依頼されている職人さんの関係で、新たにつくれなくなってしまったことがことの発端でした。

210310_3366

UDSのホテルでは、各拠点、それぞれにサステナブルな取り組みを模索し始めていた時期。新たなお香をつくるなら、環境問題に配慮したお香づくりはできないか?とご相談させていただいたところ、「まさにそのようなお香づくりをはじめようとしているところ」「それなら奈良県吉野郡の天川村というところを視察しましょう」とトントン拍子で話が進み、取り組みがスタートしました。

juttoku.の井口さんが8年ほど通い詰めているという奈良県 天川村は、人口約1,300人ほどの小さな村で、村の面積の約9割が森林なのだそう。村役場の方のご厚意で、森林の現場を見学させていただく機会に恵まれました。

0_33_03.jpeg 天川村へ同行させていただきまして

緑豊かに見えても、多くの問題を孕んでいる「人工林」

村役場の方から聞いたのは、「現在、日本の森林の多くが放置された人工林になってしまっている」という問題でした。

0_34_36 人工林という『一見すると緑豊かに見えるが、人工林による問題が潜んでいる』

昭和50年代以降、高度経済成長期に日本全体で大量の木材が必要になり、それにともなって多くの森林が天然林から人工林へ置き換えられていきました。

木を植え、伐採し、運び、製材して、商品化する。木材を扱うさまざまな市場と多くの雇用が生まれ、大きな経済活動となっていきました。

ところがその後、人口減少の波がやってきます。素材も木材から金属に置き換わるなど、木材の需要が減ったために価格は当時から比べると約1/10ほどに。経済的な基盤が弱まったために林業や運送、加工などからも多くの人が撤退し、担い手が減っていきました。

とはいえ、人工林は一度人工に切り替えたら勝手に天然には戻っていきません。

人が手入れをしなければならない、けれどそれが追いついていかない、手つかずの不健康な森林が全国的に残されている、というのがいまの森林を取り巻く大きな問題です。

0_35_51 森林の今の実態

天川村の森林の多くも、そんな「放置林」。

山はひとつとして同じものはなく、高さや場所によって日当たりも、風当たりの強弱も、土の状態も異なります。天然の森林だったころは、その土地にフィットする植生が自由にのびのびと生育し、循環が生まれていました。それによって土壌もしっかりとし、山として健康な状態になっていたんです。

ところが、その自然な状態を伐採し、こちらの都合にあわせて半ば強制的に木を植えていくとどうなるでしょう。土地に合わない植生では勝手には育っていきません。日当たりを確保するために間引いたり、木の根の部分を強くするために近くに背の低い木を植えるなど、森を守る「山守り」の役割が重要になります。

その担い手が足りないため、山が放置されている、というのが今の状況です。土砂崩れなどの原因にもなり、非常に深刻な問題です。(山守の方のお話)

0_39_03 材木を有効に 『井口さんは村の協力を経て、間伐材ヒノキの葉を用いた精油による香りを開発中』

ひょんなことから天川村とご縁のできたjuttoku.の井口さんは、少しでも力になれれば、と、人工林を天然林に戻していく活動をお手伝いされています。今回の「森の香箱」は、その過程で発生する間伐材についているヒノキの葉から精油を精製することでつくられたものです。

▼ヒノキ精油の精製の様子

0_36_44 『ヒノキ精油精製の様子』 0_36_43『何度も蒸留を繰り返し、精油を精製する』

今回、実際の森林を見学させていただき、林業を取り巻く問題の途方も無い大きさを目の当たりにしました。問題の大きさや難しさを知れば知るほど、自分たちができることの小ささも同時に実感してしまいます。

それでも、小さくても何か始めたい、それを通して一人でも多くの人と問題を共有したい。そんな思いで「森の香箱」は誕生しました。

この香りを通して、ひとときの安らぎとともに、日本の山々へ思いを馳せるきっかけとなれば嬉しいです。今後もできることからひとつずつ、小さくとも持続可能な社会に向けた取り組みを行っていきます。

_AE_3943

【三周年記念】心身を潤す現代湯治滞在プラン

今回ご紹介した「森の香箱」がお楽しみいただける、特別なプランです。
本来湯治は1週間からの長期療養が望まれますが、由縁の湯治は「心身のデトックス」をテーマに、2泊から気軽に都心でリトリートを体験できます。
ご予約はこちらから

プラン内容:
・湯治指南書
・juttoku.「森の香箱」(1室につき1つ)
・OSAJIのコンフォートマルチクリーム50g((おひとり様につき1個)
・オリジナル手ぬぐい(おひとり様につき1枚)
・スタッフ監修散策マップ

■トークイベント「『心で聞く』香りと山守のまなざし」

ONSEN RYOKAN 由縁 新宿がjuttoku. 井口さんをお迎えしたトークイベントにて、より詳細にお話ししています。

こちらのリンクよりぜひご視聴ください。