立教大学観光学部(新座キャンパス)の宿泊産業演習の授業で、ホテルマネジメント事業部の吉岡明治が「ホテルとまちづくり」についてお話しさせていただきました。
これまで手がけた開発の裏側、その時自分が感じていたこと、どうやって状況を乗り越えてきたのか。一見、立地や条件は厳しくてもマイナスをプラスのストーリーに変える大切さをお話ししました。
授業の初めには、学生さん一人ひとりに自己紹介をしていただき、観光を学ぶようになったきっかけや、これからの観光や働き方について考えていることを全体にシェア。
吉岡からも、「学生時代にまちが変わると生活が変わる、ということを体験したことがきっかけで『人の生活(ライフスタイル)に影響を与えるようなまちづくりの仕事をしたい!』と思った」という自身を振り返り、将来に向けては「色々な人に会える時期だということを生かして、幅を広げて将来を考えることをおすすめします」とメッセージ。
川崎のまちを変える、を目指したON THE MARKS
事例としてまず紹介したのが川崎のON THE MARKS。プロジェクトを通じて、ホテルだけではなく川崎の観光の魅力を伝えようとしていたという狙いをお話しします。自転車で川崎のまちを巡るツアー、着物イベントなどホテルの枠を飛び越えた観光案内、まちに開いた取り組みを重ねた結果として、川崎市の行政から大きく応援いただけて地域の人と繋がることができました。
元々のまち自体のイメージを変えることで、そこにチャンスが生まれる。点(ホテル)ではなく面(まち)で盛り上げることの大切さを実践するプロジェクトになりました。
エリアと建物の強みを生かす、ユクサおおすみ海の学校
次にご紹介したのは、ユクサおおすみ海の学校。鹿児島県鹿屋市で廃校をリノベーションして誕生した中長期の体験型宿泊施設で、UDSが運営支援として参画した地域再生モデル事業です。
鹿児島空港からバスで1時間半で鹿屋市街地へ、そこからさらに車で20分という一見不利とも見える条件ながら、エリアの強み(食、漁協、体育大学)と、建物の強み(学校、大広間)のバランスからターゲットと事業を組み立てを行ったストーリーをご紹介。鹿屋市・地域住民・卒業生・漁協・大学、自転車ショップなどの協力を得ることができました。
共感を生み出し地域の味方、協力者を作る事が何よりも大事であり、プロジェクトを通してまだ知られていない地方を、宿を通して活性化していきたいという新たな目標が見つかったと言います。
共感者(仲間)を作り、既成概念を壊しマイナスをプラスに変えていく
おわりに、学生さんからの質問をいただきました。
地域の伝統工芸をホテルで活用するという事例がありましたが、そのような繋がりはどこから見つけてくるのでしょうか?
例えば、まず市の観光課に行って相談し、その地域でのキーマンとなる人を紹介してもらうというのが一つの方法です。地元の人形店や織物の職人さんなどを紹介いただき、そこからさらに仲間を紹介していただくこともあります。大切なのは、「共感が得られるコンセプト」と「ネットワークづくり」であると思います。今後も宿という場を通して、共感者(仲間)を作り、既成概念を壊しマイナスをプラスに変えていく、そんな事業をこれからもしていきたいです。
授業後には受講した学生さんから、授業を通して感じた感想をいただきました。
「宿でまちを変えるという新しい視点をもらいました。」
「それぞれのホテルが街の中での重要な役割を担うように内外に働きかけていて、ホテル運営だけでなく地域と一体となってやっていく姿勢に感動しました。」
「『ストーリーの作り方で弱みを強みに変えられる』『想いを発信し、共感者(仲間)をどれだけ作れるか』ということは、ホテル経営に限らず、社会で働く上で重要になってくると思うので、 お話から沢山のものを得ることができました。」
今後も若い皆さんと共に日本の観光を考え、共有する場をぜひ作っていきたいと思います!貴重な機会をありがとうございました!