UDSにはSDU(システムデザインユニット)というチームがあります。企画から設計、運営まで、UDSの持つ事業領域をすべて網羅した少人数チームで、あらゆるジャンルの案件を手がけています。
そんなSDUでは一緒に働く仲間を募集しています。
SDUとはどんなチームなのか。UDS社長兼事業企画部担当執行役員の黒田と、SDUの中心メンバーに聞きました。(取材・執筆協力:角田 貴広)
SDUについての前に、まずはUDSについて改めて聞かせてください。
黒田:UDSは「都市デザインシステム」として約30年前の1992年に誕生した会社です。創業者の梶原さんが集合住宅の選択肢の少なさや仕様の制限、近隣とのつながりのなさに違和感を感じ、コーポラティブハウスを事業化したことが始まりでした。更地の段階で住みたい人を募り、話し合いながら自分たちで家をつくっていく。空間づくりを通じたコミュニティの形成が重要なポイントでした。
その後も日本のデザインホテルの先駆けと言われたホテル「CLASKA」で新しいホテルのあり方を提案したり、職業体験型テーマパーク「キッザニア」の日本での立ち上げに携わるなど、事業領域はどんどん広がりましたが、コミュニティが生まれる場を通じてまちづくりをしていきたいというのが創業以来続いているUDSの基本思想です。
コロナ禍を経て、変化はありましたか。
黒田:事業や拠点を整理してきましたが、拠点をつくって終わりではなく、その先のまちづくりに貢献したいという思いは変わっていません。たとえば、ホテルが起点となって地元の商店やつくり手さんとお客様がつながり、地域内の経済が活性化される。これからは働く人とまちの接点を増やすなどして、さらにコミュニケーションが生まれる地域の仕掛けをつくっていきたいと考えています。
そんななか、なぜSDUというチームが生まれたのでしょうか。
三浦:私自身が企画、運営マネジメントなど幅広い業種を担当してきたのですが、一番最初はシェアハウスのプロジェクト担当者として、みずからそこに住んで日々改善をしたり、その知見を次の企画に生かすというような働き方をしてきました。そんな動き方をチームでやれば、さらに企画の可能性が広がるのではないかと考えたのがきっかけです。
UDSには企画・設計・施工・運営という施設の立ち上げに必要なすべての機能が備わっていますが、すでにメンバーも数百人を超え、小回りが効きづらかったり、部署ごとに情報が行き交いにくくなる側面もありました。そこで、あらゆる分野のメンバーを集めてつくったのがSDUです。実は「事業企画部」の中でこれまでも多くの案件を担当してきたのですが、社内外に対してさらにチームの存在感を増していきたいという狙いで、UDSの逆さ並びでシステム・デザイン・ユニットの略である「SDU」という名前をつけて立ち上げました。
SDUの立ち上げは、時代の流れとも関係していますか?
三浦:ここ数年でSDGsという言葉が定着しました。昔は不動産では利回りが最も重要で、さらにかっこいいものをつくればベター、できれば社会的に意義のあるものなら最高、という順序づけだったように思うのですが、今では社会的に意義のある、かっこよくて、儲かるという3つの条件を「すべて満たして当たり前」という価値観に変わってきていると思います。これはUDSが創業当初から大切にしてきたことです。それらすべてを満たすプロジェクトというのは簡単ではありません。だからこそ困っているクライアントは多く、これまでその視点を持ち続けて様々なプロジェクトに携わってきたSDUとしてお役に立てる時代になってきたと思います。
SDUの強みとは?
三浦:最大の特徴はプロジェクトの起点となる企画から実装するフェーズの運営までを網羅できるメンバーを集めていることです。それぞれの専門領域に留まるのではなく、全員が同じ「しくみをつくる人 = システムデザイナー」という意識で、領域を越境しあうような体制をつくっています。
黒田:最初は企画と設計、プロジェクトマネジメントがUDSの得意分野だったわけですが、2010年から運営機能が加わりました。今では運営までできることがUDSの大きな強みになっています。運営をしているからこそ得られるノウハウを企画と設計に生かすことができるので、ただ企画して終わりではなく、運営までも担当して、その事業の未来に対して責任を持つことができます。
三浦:SDUはそれを一つのチームでやってしまえるというのが大きな強みです。
また、プロジェクトを妄想・構想・伴走・実装という4つのフェーズに分割し、それらのサイクルを回すことでプロジェクトをよりよいものにしていくというのがSDU的な考え方です。これも企画から運営まですべてを担当できるからこそ生まれたものですね。さらに可能性を広げるためには、できるだけ早い段階からプロジェクトに入る必要があり、そのほうが力を発揮できると感じています。
具体的にはどのような案件を手がけているのでしょうか。
三浦:「SHIMOKITA COLLEGE」という居住型の新しい教育施設や、NTT西日本のオープンイノベーション施設「QUINTBRIDGE」など、これまでにない新しい業態を中心に現在は10施設の運営を手がけています。
どのような相談が多いのでしょうか?
三浦:多くの場合、最初に土地や建物があって、どうするのかという課題の相談を受けることから始まります。どうすればいいか方向性が決まっていないケースがほとんどで、クライアントと一緒にリサーチ・対話を繰り返しながら、いろんな選択肢を検討していくんです。それが「妄想」ですね。
それから具体的なビジネスモデルを組み立て、事業収支計画に落とし込み、「構想」していく。自前で日々事業を行っているからこその知見が活かせる部分だと思います。
そこからチームを組成し、プロジェクトマネージャーとしてヒト・モノ・カネ・スケジュールをマネジメントしながら、クライアントとともに開業にむけて「伴走」していきます。
SDUではここで終わることなく運営をしていくので、たとえば一番最初のプロジェクトだとUDSが2013年に手がけたシェアハウスを今でも運営しています。古くなった部分には手入れをしてバリューアップもしますし、コロナ禍でシェアハウスにコワーキング機能が必要となればそれを「実装」したりもしてきました。
こうした運営を通じた知見が、また次の企画アイデアへとつながっていくわけです。運営を担当しながら別のクライアントワークに入ることで、その知見をさらに生かしていくという相乗効果が生まれていると思います。
黒田;大きなプロジェクトをやるときに普通なら担当ごとに別々の会社に依頼をしなければいけないかと思いますが、UDSではそれが一社でできるのが強みです。
三浦:SDUではさらに一つのチームでそれが全部できる、というかたちです。
また「依頼与件自体を問い直す」ということも行ったりします。たとえば、設計だけ担当するとなると設計費は工事費用のうちのいくらという考え方になるので、建物をつくらなければお金が入ってきません。そうなると「プロジェクトの規模を縮小したり…もしかするとつくらない方がいいのでは?」と思ったとしてもなかなか言えませんよね。
でも、SDUでは設計以外にも企画フィーやプロジェクトマネジメントフィー、家具や施工の売上、運営管理フィーや事業収益など、いろいろな形でのキャッシュポイントがつくれるので、そういったクライアントのためにゼロベースから考え、与件自体を組み替えるような提案をすることもできるんです。
川口さんは入社3年目にして、すでにたくさんの事業を担当してきました。そもそも、なぜUDSへ?
川口:もともと空間や家具に興味があり、大学では建築意匠を学んだのですが、課題で出されるような大型の公共施設のような案件がほんとうにあるのだろうかということに疑問を感じていたんです。そこで、まずは一般的なお客さんとコミュニケーションをとることができるハウスメーカーへ就職することにしました。住宅なので建築規模も小さく、若くても裁量権が持てるというのも魅力でした。
それから、毎年20〜30件という数の設計をこなす中で一級建築士の免許をとることもできたし、120棟を超えたあたりで転職をしようという流れでUDSに入社をしました。それまでの設計の仕事では予算や要望がほとんど決まった状態で案件が来るので、ほんとうにお客さんが希望することを実現するためには前提条件から考えなければならないこともあり、モヤモヤすることがありました。
UDSだからこそ前提条件からチャレンジできる、と。
川口:はい。その中でも企画から運営までを一気通貫できるSDUというチームは魅力的でした。実際、入社して2週間で海外企業のための社員寮兼ホテルをつくる大型案件を任していただき、前例のない中で半年間で竣工するというかなりハードな案件を走り抜けたりもしました。予算の裁量権なども持たせてもらい、とてもいい経験になりました。
他にはどのような案件に関わりましたか?
川口:開業案件だけでもこの3年で4つ関わらせていただきました。「Lights Apartment.(ライツアパートメント)」という新築シェア型アパートメントや地元である宮崎での複合施設「TERRASTA」、自由が丘でリニューアルオープンした「トレインチ自由が丘」などです。場ができていく様子を見てこれたのはいい経験になりましたし、自分も「トレインチ自由が丘」の運営に入りながら、そのほかの企画もやっていくということで、まさにSDUの働き方を体現しています。
ここ最近の案件の傾向などはあるのでしょうか?
黒田:大きな開発の案件が増えていて、どこから手をつけていいかわからない、プロジェクト全体の旗振り役がいないという相談が多いです。幅広い業態で企画から運営までできるというのがポイントになってお声かけいただくことが多いですね。
三浦:ディベロッパーの新業態の開発のような案件も増えていて、設計というよりもサービスそのものの開発をするような案件もあります。商業施設の定石としてオフィスや住宅を上層階に設けつつ、育成用途としてホールを設置するようなことがありましたが、コロナ以後は人を集めることが少なくなり、代わりにイノベーション施設を併設しようという取り組みなどが増えました。そういったところで私たちが立ち上げから関わっているNTT西日本の「QUINTBRIDGE」でのノウハウを生かした新しい挑戦などもできます。
運営に入りながら別案件の企画も担当するというチームの特性上、なかなか人手が足りない印象がありますが、どのような人材がSDUっぽいと感じますか?
三浦:運営含めて15人のチームで10施設を回しているので、全然足りていないですね(笑)SDUとして、僕たち自身も未経験の領域にどんどんチャレンジしていくことになります。そのためには、自分たちだけでやろうとするのではなく、組織内外の専門性のある人たちに呼びかけ、チームとしてまとめていくコーディネーター的な仕事がとても重要になります。だからこそ対話する力が必要ですし、意見の対立も恐れずにより良い視点を引き出しながら学習を繰り返し、ビジョンに向かって推進力を持って調整していくような能力が必要になると思います。
黒田:これは30年前にコーポラティブハウスをコーディネイトすることからはじまった、UDS創業時から受け継いでいる組織の強みです。
川口:企画職って実は職種関係なくやれる仕事だと思っています。課題を設定して、その課題を解くためにPDCAを回すことさえできれば、大抵の仕事はできるんじゃないでしょうか。
三浦:そうですね。あとは、短期的にはネガティブに考えたり慎重さを持ちつつも、長期的にはどっしり構えてなんとかなるというポジティブなマインドを持っている方がいいと思います。
川口:捻くれた視点もいいですね。三浦さんはこの能力に長けていますが(笑)、依頼内容自体を疑ってみたり、ときにはクライアントにクリティカルな指摘をしたり。そういう捉え方や提案ができることは素晴らしい強みになると思います。
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