代表の黒田が、先日BONUS TRUCKで開催されたトークセッション「美しい経済の風景の、つくり方を話し合う」のゲストにお招きいただきました。
今回のイベントは『Community Based Economy Journal - 美しい経済の風景をつくる旅の記録-』第二号の刊行に合わせて開催されたものでした。より良い社会に向けてそれぞれの取り組みを進めている以下ゲスト・ホストと各地から駆けつけた参加者が一緒になって「私たちはどんな美しい経済の風景をつくりたいか」をテーマに話し合いました。
『Community Based Economy Journal - 美しい経済の風景をつくる旅の記録-』
“Community” と “美しい” という二つの感覚を糸口に、グローバルに展開する企業からローカルに根ざす商いまで、規模や業種を問わず、青い地球に相応しいあり方で経営されるビジネスを国内外に求め、訪ね、その背後にある人々の哲学や態度、創意工夫や仕組みを記録するビジネスドキュメンタリーマガジン。
(イベントページより)
ご一緒させていただいたゲスト
有福英幸さん
創造的な対話の場Future Sessionを提供し社会イノベーションを促進する「株式会社フューチャーセッションズ 」代表取締役社長
https://www.futuresessions.com/
こくぼひろしさん
ソーシャルグッド専門の後方支援ファーム「ひとしずく」代表
https://hitoshizuku.co.jp/
ホスト
風間美穂さん
「未来が歓迎する経済をつくる」ためにビジネスとクリエイティブをはじめとした多様な専門家が集まり共創する非営利型ビジネスプロデュースプロジェクトで、『Community Based Economy Journal - 美しい経済の風景をつくる旅の記録-』発行者の一般社団法人リリース共同代表理事。
https://release.world/
小野裕之さん
ウェブマガジンgreenz.jpビジネスアドバイザー、おむすびスタンドANDON・お粥とお酒ANDON共同オーナー、下北沢BONUS TRACK(散歩社)創業者・プロデューサーを務める編集者・プロデューサー
青い地球とともに
自由でやさしく生きていくことができる経済を
冒頭では今回のホストのひとり風間美穂さんから、本のタイトルにもなっている「Community Based Economy」について、ご紹介いただきました。
風間さんが共同代表理事を務める一般社団法人リリースが拠点とする京都市では、2019年に「京都市地域企業の持続的発展の推進に関する条例」が施行されました。
「自らが地域社会の一員であることを理解し、その事業活動を通じて新たな経済的社会的価値を生み出すことにより、本市及び市民と共に、豊かで活力に満ちた地域社会を将来にわたって形成するよう努める」企業を、京都市では規模の大小ではなく地域企業と呼び、応援するための条例です。
(中略)
なぜこのような条例が施行される街であれたのか、と考えた時、京都は「事業規模や利益以上に大切にするものがある」経済文化であることが大きな要因だと気づきます。そして、その経済文化が様々な商慣習をつくり、世界で最も「100年以上続く企業」を有する経済圏を育みました。経済生態系に基盤をおいた長期的な経営姿勢と信頼、品格や独自性、を求める京都経済に、私たちが生きていきたい経済のあり方を感じています。
(https://community-based.org/background/より)
同条例のきっかけとなった「京都・地域企業宣言」が2018年秋にできた際、京都市は地域企業という言葉を「Community Based Company」と英訳されました。リリースではそうした地域企業等に代表される“自然や文化などの社会の分母となる資本”を減らすことなく、それらを耕し育み続けるビジネス・経済活動を「Community Based Economy」の姿と捉え、2020年9月より世界各地の約100名の仲間たちと呼びかけ合う活動を始めたそうです。
『Community Based Economy Journal 』はそんな「Community Based Economy」の風景を共有することを目指して発行されています。
今やっていることが美しいのか、
社会を変えていくことになっているのか
今回のトークセッションは、美しい経済の風景の「つくり方を訪ねる」、「感じ方と出会う」、「つくり手と歩く」の全3章で構成される同書籍の延長の「つくり方を話し合う」場として開催されました。
“自分が目指す姿や社会をどう伝えていくか共有していくかが次の時代につながっていくと思っている”
“取り組みを通して家族や仲間、自分が関わる生態系を整えていくことの先に変化があるんじゃないかと思ってやっている。でも非力だなと感じることもある”
“自分がやってきたことがはたして社会を変えていけるような動きになっているか、と考えると息切れすることもあるが、「社会を壊しながらも経済成長していけばいいとは思わない」という土台が整ってきたようには思える”
“正しさだけでは人は動かなく、社会は変わらない。楽しさが必要。人はコミュニケーションする動物で話すことは根本的に楽しいはず。それぞれが自分のことを話し、理解されていく対話をことをどれだけ広げられるか、ということを考えている”
ゲスト、ホスト、それぞれが色々な想いを共有くださる中で、黒田も以下のようなことをお話しさせていただきました。
“今やっていることが美しいのか、社会を変えていくことになっているのかといつも考える”
”ビジネスにおいては事業性で全て判断されていくが、それは実際エクセル上の計算で、そこにある人の熱意やソーシャルインパクトは数値化できない。エクセルに現れない、数値化できない価値をどう吸収してやっていくか”
“森や水、環境がよくなるにはという視点に立ってそのためにはどんなところまで含めて考え・形にする必要があるのかというように、少し目線の高いところでビジネスを考えられたらいいのだけれど、と思う。もともと「開発」という言葉は自分の中の潜在力を掘り起こし、顕在化させていくことを示す仏教用語の「かいほつ」からきている言葉で、昔は水の流れなどエリア全体を見渡した上で整えていったものだそう。現代の開発は土地を区切って、稼げるのは何か、という視点でやるものになってしまっているところがあるので、もっとかいほつ的に、マクロな視点で見て考えていけばより社会をいい形にしていけるのではないか”
“人と人との関わりしろをつくることで、みんなの場所だと思えるようにできる。それこそ今こそコーポラティブ的な考え方が重要になってくるのではないだろうか”
“美しい経済の風景は「つくる」のではなく「生まれてくる」ものだと思う”
「美しい風景はひとりではつくれないし、1社でもつくれない。こうしていろんな人と、どういう風景を見たいのかを可視化して共有し合いながら、一緒にやりたい人がつながっていくモデルケースを作れたら」(リリース 風間美穂さん)ということで企画・お声がけいただいた今回のトークイベント、大変貴重な機会をいただきました。またの機会がありましたらお声がけいただけましたら嬉しいです。
ホスト、ゲストのみなさま、ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました。