オフィス1階「リラックス食堂 HARAJUKU」にて、AIA Japan(アメリカ建築家協会日本支部)とUDSの共催で、「2017年アメリカ西海岸建築実態体験ツアー報告会」を開催しました。
AIA(アメリカ建築家協会)とは、米国で最も古く有名な専門職能団体の一つで、「メンバーの技術上かつ実務上の向上を促進する」「専門職の地位を向上する」をミッションに掲げています。
現在米国では300以上の州及び地方の支部があり、加えて新たに国際支部(日本、英国、ヨーロッパ、中東、香港、上海)が設立され、グローバルな視野を持って活動をしています。
UDS設計部執行役員の吉本が同協会日本支部(AIA Japan)の副理事長を務めており、また海外で建築設計を学んだメンバーも多数在籍していることから、AIA Japanが建築を専攻している学生を対象に毎年実施するプログラムの2017年度報告会を共催させていただきました。
本年度のプログラムでは、アメリカ西海岸ポートランドにおいて建築設計事務所と建築教育の場を訪問し、アメリカ式の設計プロセスを体験しました。
報告会では同プログラムに参加した6名の学生から、街中のパブリックスペースの活用事例や、オフィス環境など実際に体験した、ポートランドのライフ&ワークスタイルから得た学びが報告されました。
約20日間の滞在中に、9回ものプレゼンテーションの機会があり、設計の課題ではその都度、入念な敷地分析も行われました。参加学生は、アメリカでは日本よりもリサーチが重視され、論理的なアプローチが求められたと気づきを述べました。
また、プレゼンテーションの中には設計のみならず、「日本について」をテーマにしたものあり、“日本酒”を建築に例えるなど、工夫を凝らした発表を行いました。
参加者からの「今回のツアーにより、自身にどのような影響があったか」という質問に対しては「日本だけに留まらない視点を得ることができた」「海外で働く選択肢が広がった」などの意見が挙がりました。
また、学生の視点から感じた “海外で働くこと” に加え、吉本大史(UDS 設計部 執行役員)と吉村靖孝氏(建築家・明治大学特任教授)より“海外で働くリアル”をお話させていただきました。
UDS吉本は、東京で生まれ、幼少期に家族がパナマに移住。その後、フロリダ大学環境デザイン学部を卒業し、日本の大手ゼネコン設計部に入社。その後、カリフォルニア大学の建築修士課程を学びながら、Stanley Saitowitz建築設計事務所で経験を積みました。
発表では、実際に居住した街や、手がけたプロジェクトなどを紹介しました。
また、景観保全のための条例を守った上でのモダンな建物の設計や、日米の異なる単位(フィート/メートル)によるスケール感覚の違いなど苦心したエピソードも明かしました。
このような国際的なバックグラウンドや多様な経験は、現在UDSが手がける国内外のプロジェクトにも生かされています。
オランダの建築事務所を経て現在日本を拠点に活動する吉村靖孝氏からは、規範を凌駕する個性的な建物群、躍動感のある街で得たものについてお話いただきました。
また、本会の趣旨が「海外設計事務所のワーク/ライフスタイル体験報告」であるということから、自身の作品だけでなく、これまでの建築家としてのキャリアの中で、どのような思考で自分の道を選び、どのような学びを得てきたかについて、リアルな経験談をお話いただきました。
所謂建築家のレクチャーイベントでは聞けないような裏側の話を伺うことができ、学生たちはもちろん、UDS社員にとっても貴重な時間でした。
また、学生の報告会では「海外と日本のワークスタイルの違い」にフォーカスした発表が多かったですが、一方で吉本・吉村氏の共通認識として、「建築のものづくりのプロセス自体は、どの国でも意外と変わらない」と話されていました。
どの国で活動していようと、そこで得た建築のスキルというものは違う場所に行っても通用するのだという認識は、学生がこれからのキャリアを考える上での指針になると思います。
発表、トークイベント後の懇親会では、登壇者を交えて参加者の皆さんとざっくばらんにお話させていただきました。イベント最後の「海外留学に参加したい人は?」という質問に対し、参加者の約半数の手が挙がり、「海外で働きたい人は?」という問にはその中のほぼ全員の手が挙がりました。今回のイベントが、海外留学や海外で働くことを身近に感じていただくきっかけになれば嬉しいです。
また我々運営側としても、普段あまり知ることの出来ない海外の設計事務所のリアルな事情を得ることができ、貴重な経験となりました。
モチベーションの高い学生と、経験豊富なデザイナーとの双方向の発表が展開されたことで議論の質が深まり、より意義のある会になったと思います。
UDSでは今回の経験を活かし、今後も海外をテーマにしたトークイベントや、「世界に良いこと、社会に良いこと」をみんなで考えるゼミ形式のイベントを開催予定です。
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