3月末、横浜中華街に「横浜開運水族館 フォーチュンアクアリウム」(以下フォーチュンアクアリウム)がオープンしました。
フォーチュンアクアリウムは2004年に開業した「ヨコハマおもしろ水族館」を企画の部分からリニューアルしてオープンしたものです。UDSでミュージアム施設の企画・運営を手がけるチームが企画プロデュースを担当させていただいたそのリニューアルプロジェクトをご紹介します。
その前に・・・UDSとミュージアム事業について
まちをより楽しく豊かにする施設の企画、設計、運営を行うUDSでは2019年に、都市型水族館の企画・運営を手がけてきたメンバーを仲間に迎えて、ミュージアムの企画・運営を手がけるチームを発足しました。
商業施設の中核施設やまちづくりの起点となる場所として、ミュージアムの注目度が高まってきていることなどを背景に、地域に新しい価値を創出する「まちのミュージアム」に、まちづくりの観点から取り組むチームです。今回のリニューアルはこのチームに相談をいただいたことから始まりました。
プロジェクトの背景
「ヨコハマおもしろ水族館」(開業当時は「よしもとおもしろ水族館」)は「生き物の不思議や面白さを発見できる水族館」として、2004年に開業しました。コロナ禍の影響で運営を継続することが困難となり、2021年11月に惜しまれつつも閉館。その後、同水族館が入居する商業施設「チャイナスクエア」さまから、商業施設のフロア内などに設けられる「都市型水族館」の開発ノウハウがあるUDSのチームに
今ある施設資産を生かしながら、お客様に喜んでもらえて、事業性も担保できる施設にリニューアルしたい。
とご相談をいただきました。
水族館は開業から17年と、まだ設備的には使える状態。
昔から通ってくださるお客様もいらっしゃり、施設がある横浜中華街はコロナ禍を経ても元気で、何よりとても特色のあるまちです。そのまちの特徴と訪れる顧客層を見直して、新しいコンセプトで館での体験(=コミュニケーション)を設定し直したら、新しい水族館に生まれ変わるはず。という視点で新たな水族館として事業収支を組み、リニューアル提案をさせていただきました。
具体的にどんな提案&動きをしたのか?
1. 横浜中華街というまちの特徴を再確認
- 横浜中華街は古くから文化が交流するなかで運気や縁起を大事にしてきたまち。
- 最近では恋愛成就や金運上昇のご利益があると言われる横濱媽祖廟廟(まそびょう)をはじめとしたパワースポットが集まっている場所として、女子旅やデートに人気のエリアになっている。
- 近年横浜中華街の新たな名物になっているのが「占い」。そして、水族館のある建物には横浜中華街を中心に年間約20万人の相談に寄り添う1995年創業の老舗占い店「鳳占やかた」があり、20〜30代女性が占いを目当てに多く訪れている。
2. 中心顧客層と体験の見直し
- 上記の通り現在の横浜中華街は占いや運気UPを求めて20〜30代女性が多く訪れる場所になっているが、施設は子連れファミリー向けに企画されていた。
→顧客層を20〜30代女性に設定し、新顧客層に合わせて「体験=コミュニケーション」を変える。 - 小さな水槽が多く並ぶ展示を見直し、お客様が楽しみやすいフロアに改善しながら、同時にメンテナンスにかかるコストも削減していく。
3. 新コンセプトの設定
新たに狙う中心顧客層の20〜30代女性に訴求するため、彼女たちを引き寄せる「パワースポット」・「占い」の価値を付け加え、今までにない大人の水族館体験を作り出す
新水族館のコンセプト:「開運魚からフォーチュン(福)がもらえる水族館」
上記をコンセプトに(おそらく国内唯一の)「占い」をテーマにした水族館に。
4.新コンセプトに基づいた、体験作り
- エントランスで引く“開運うおみくじ”の “開運魚”からのメッセージを元に、八十八の水槽(フォーチュン水槽)を巡って楽しんでいただく体験を構築。おみくじは「鳳占やかた」さんに監修いただいて“開運うおみくじ”を開発しました。
- 占いに連動する言葉でゾーンを組み直し、魚を配置。
▲6つのゾーンに88本の開運魚の水槽が配置されています。各ゾーンの詳細と鑑賞できる生き物はHPのこちらからご覧ください。
- 壁や床も、手を入れて、館内の雰囲気を一新。
(before) → (after)
そのほか、館内BGMやユニフォーム、ロゴ、館内サイン、ウェブサイト、ショップ商品企画制作など、リニューアルに関わるほぼ全ての業務を担当しました。
自然や生き物から心地よい暮らしのヒントをもらう「占い」
もともと自然の変化を敏感に感じ取り暮らしに生かすための知恵だったとも言われる占いは、ちょっとした迷いや未来への望みに対して、そっと背中を押してくれる力があります。
今回のリニューアルでは生き物の生態を楽しく学べるという水族館の基本も大切にしながら、「占い」体験を組み入れることで、一人一人のお客様が自分に引き寄せた視点からも楽しめる水族館をつくりあげました。
中華街を訪れる際にはぜひお立ち寄りください。
以上、「横浜開運水族館 フォーチュンアクアリウム』リニューアルプロジェクトのご紹介でした。