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ブログ 2023.2.24 まちと学生寮- 地域と繋がりながら、学生の成長や学びの機会を提供できる場を目指して

まちづくりにつながる場の企画、設計施工、運営を行う私たちUDS。ホテルのイメージが強いかもしれませんが、「学生寮」の企画、設計、運営もしています。
具体的には2018年に神奈川県湘南台駅前に開業したNODE GROWTH 湘南台 、そして2021年下北沢に開業したSHIMOKITA COLLEGE の2施設。
いずれもUDSにて企画・設計・運営していて、自社で運営する食堂「リラックス食堂」を備えています。

左:NODE GROWTH 湘南台 右:SHIMOKITA COLLEGE
UDSが手がける学生寮ということで、特徴は「地域」と「学び」。まちにひらき、学びのある学生寮を目指しています。
左:NODE GROWTH 湘南台 右:SHIMOKITA COLLEGE UDSが手がける学生寮ということで、特徴は「地域」と「学び」。まちにひらき、学びのある学生寮を目指しています。

そんなの学生寮の取り組みがきっかけでお声がけいただき、先日、両施設の企画を担当した事業企画部ゼネラルマネージャー三浦宗晃が、多摩大学 相模女子大学 東海大学 小田急電鉄株式会社主催のシンポジウム「Odakyu Innovation Roots」に登壇してお話しさせていただきしました。

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■多摩大学 産官学民連携webでの開催レポート→ https://t-collabo.com/event/oir-3/

UDSがどういう意図で学生寮事業を手がけているのか。
シンポジウムの中でお話しした内容も含めながら少しお伝えできればと思います。
◾️Odakyu Innovation Roots
企業・自治体・沿線大学同士がつながり、共有・発信することで、魅力的なエリアを作り上げるための根源(Roots)となることを目指して開催さるシンポジウム。小田急電鉄株式会社と多摩大学の「連携協力に関する基本協定」をきっかけに、具体的事業の第1弾として実施。多摩大学ながしまゼミの学生が全体のプロデュースを行い、多摩大学総合研究所が事務局を行う形で沿線大学をつなぐ役割を担っています。
(多摩大学総合研究所 Odakyu Innovation Roots ページhttp://tmuri.jp/oirp#vol1-1 より抜粋編集)
◾️NODE GROWTH 湘南台
湘南台小田急不動産株式会社とUDSによる土地有効活用プロジェクト。周辺に大学が多い立地性、UDSで手がけてきたシェアハウスや学生食堂などのノウハウを踏まえて、地域とのつなぎ目(=NODE)、そして学生の成長(=GROWTH)を促すことを目指す、158室の学生レジデンスとして計画し、2018年4月に開業。

学生寮に「学び」「地域」の視点を加えたら

NODE GROWTH 湘南台があるのは神奈川県藤沢市湘南台駅前の駐車場だった場所。その場所を有効活用したいというご相談を受けて、小田急電鉄と協働してUDSにて事業企画を行いました。

周辺に大学などが多い立地特性を踏まえて検討重ねた結果、学生寮をつくることに。

UDSとしてシェアオフィスや学生寮の食堂などは手がけていましたが、学生寮事業は初の取り組みになります。企画を担当した三浦はまず「自分だったらどういう寮なら入りたいと思うか、、」を考えました。(UDSとして重視している姿勢のひとつ「エンドユーザ視点」による考え方です)

自分が大学生だった時を振り返ってみると、将来に向けて視野を広げて考えていくための情報や人へのアクセスが限られていて苦労した経験がありました。

また、大学があったまちには5-6年住んでいたのですが、研究室での取り組み以外に地域に対して接点を持って何かやった記憶がほとんどなくて。それはもったいなかったなぁと。

そんな自身の経験を踏まえて、サークルなどとはまた別のかたちでの人との出会いや、地域との接点がある寮があったらいいな、と考えました。(三浦)

企画と設計、運営が一体である組織の強みを生かしたデザインや、食、コミュニティ運営の面ではUDSとして自信がありました。そこに「学び」と「地域との繋がり」を育むという独自のポイントを加えて新しい事業として取り組みを始めたのがNODE GROWTH 湘南台です。

1階のまちに開いた食堂「リラックス 食堂湘南台」
1階のまちに開いた食堂「リラックス 食堂湘南台」
お部屋は全室家具付きで、バス・トイレ付きのスタンダードタイプ とバス・トイレ共用のシェアタイプの2種類
お部屋は全室家具付きで、バス・トイレ付きのスタンダードタイプ とバス・トイレ共用のシェアタイプの2種類

4年目の春を迎える現在の状況

駅前という立地のおかげもありますが、満室に近い稼働状況で、収益性の面でも当初の計画を上回っています。

「ここに住んでいる先輩におすすめされて」、「友達が住んでいてよさそうだったので」、や「ご飯が美味しいと聞いたから」などがきっかけで入居される方も少なく、とても嬉しい循環ができています。

また下北沢のシモキタカレッジの実績とあわせて沿線の大学や地方などからも興味を持っていただけているようで、寮事業のご相談をいただいたりもしています(三浦)

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地域とのつながりを生み出す仕掛け

2018年に開業後しばらくは地域の方も参加できるワークショップなどを食堂で開催していましたが(チョコレートづくりやソーセージづくりなど)、この3年はコロナウィルスによる各種制限もあって、地域との接点のきっかけを思うように提供できませんでした。

一時は寮生の共用部の利用も制限せざるを得なく、つながりを生んでいくには苦しい状況が続いていましたが、しばらく寮生の利用のみとなっていたリラックス食堂湘南台も昨年秋から外部利用が再開しました。

これまでは、地元の祭りに参加したり、地元の食材使ったり、地元の生産者さんの野菜販売所を設けたりという形で地域との接点を作っていました。今後は外に出て行って、地域やそこで活動する方々とのつながりの中で、自ら興味を持って何かに取り組んでもらえるきっかけづくりをより積極的に組み入れていきたいです。(三浦)

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寮生目線でNODE GROWTH 湘南台を紹介しているInstagramより

地域にとっての学生 まちづくりの視点から

各地方や地域ではそれぞれ、観光客の獲得に向けて様々な取り組みをすすめていますが、学生さんは何年かの単位で長期で滞在しているゲストと考えることもできると思うのです。

そんな視点で見たときにも、学生のみなさんには是非新しい土地で地域の方と触れ合っていろいろな体験をしてもらいたい、と思っています。

その体験は学生さんにとって将来きっといい思い出や経験になるはずですし、同時に地域の視点、まちづくりの視点から見た時には、良い思い出やつながりが地域への愛着につながり、将来継続的に訪れたり、または近隣地域に住むという動きにもつながっていく可能性があると考えているので。

そんな思いで、学生さんの将来につながるように、また地域の将来につながるように、という両方の視点を持って学生事業に取り組んでいます。(三浦)

とはいえ、やはり第一は、寮で過ごす学生さんが自分らしく、心地よく暮らせること。その上でその時間が少しでも成長や気づきのある時間になったら、素晴らしい、と考えています。

まちをキャンパスに、とよくいっているんですが、寮生がやりたいことを実現するきっかけを提供する場に寮がなっていければ、と思っています。

学生さんの性格や志向もそれぞれですので、無理やり、ではなくて、あくまで興味を持った人が、楽しいからやってみたい、というかたちがいいな、と。学生さんたちにとってそういう「プラットフォーム」になれるように取り組んでいきたいです。(三浦)

以上、シンポジウムでお話しさせてもらったことも交えながら、UDSが学生寮事業を手がけている背景と意図を少しご紹介いたしました。

同じくUDSにて企画、設計、運営している、シモキタカレッジ(こちらは居住型境域施設、と位置付けています)についてもこちらにまとめていますので、ご覧になってみてください。