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Blog 2019.3.6 これからの地方のスマートなありかたとは (3/3) – 薩摩川内市×アクセンチュア福島イノベーションセンター長中村氏トークイベント

前回までのお話はこちら。その1 その2

中村さんのお話を受けた最後のパートは、薩摩川内の4つの組織からスピーカーの方々を迎えてのトークセッション。それぞれで感じていらっしゃる課題や、薩摩川内におけるスマートシティについてお話しました。

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<スピーカー>
アクセンチュア株式会社 福島イノベーションセンター長 中村彰二朗さん
川内商工会議所青年部 会長 小城護さん
薩摩川内市商工会市青年部 坊野誠一郎さん
公益社団法人川内青年会議所 副理事長 福永幸央さん
薩摩川内市商工観光部 次世代エネルギー対策監 久保信治さん
UDS株式会社代表取締役社長 中川敬文

「市民への浸透」の課題

久保さん:私たちの次世代エネルギー課は2011年に設置され8年目に突入する課です。薩摩川内市民のみなさんの課題を解決する処方箋を提供する組織になるべく取り組んでいます。その中で、「エネルギーやICTが解決策になるのでは」との仮定のもとにこれまでいろいろな実証実験やスマートハウスなどやってきましたが、市民のみなさんへの浸透が課題です。

中川:会津ではスマートシティはどうやって市民のかたに認知を広げていったのですか?

中村:イノベーター、アーリーアダプターといった新しいことに興味のある方からはじめました。最初は少なくてもいいのでそういう人たちに伝えることから広げてきました。またこどもの教育とか、興味の高いことをテーマにして興味をもってもらって、そこから入っていくようにしました。

実際の利用の面では例えば高齢者はITに対して拒否感があるので、スマートフォンをタッチポイントにするとなかなか浸透しないですが、高齢者の日常生活に染み込んでいるテレビをタッチポイントにしました。テレビのスイッチいれると市の地域情報ポータルサイト会津若松プラスがまず画面に出てくる仕組みです。よくホテルにあるような形ですね。テレビに出てくる画面で車に来て欲しいとボタン押すとコミュニティバスがきてくれる。そういう仕組みにしています。

あとはお年寄りの方はお孫さんのいうことはきくので、お孫さんを集めてお孫さんに「今日帰ったらおじいちゃんおばあちゃんに教えるんだからね」、といって話して、お孫さんから教えてもらうようにしたりしています。

(左からUDS中川、薩摩川内市商工観光部 次世代エネルギー対策監 久保信治さん、中村誠二朗さん)
(左からUDS中川、薩摩川内市商工観光部 次世代エネルギー対策監 久保信治さん、中村誠二朗さん)

キーワードはConnected:つながること

福永さん;私の会社は設計事務所なのですがやはり若い人は東京に出て行ってしまうので人材獲得が課題です。昔は手書き図面だったものを3DのCADにすることで、打ち合わせの時間を削減して手間を省き仕事の効率化を図ってはいますが、厳しい課題です。

小城さん:薩摩川内に限らず農業従事者不足は顕著ななか、私たちでは無人で動くトラクターなどを導入予定で動いています。ただ道路を無人で走れないことや一区画あたりの大きさがある程度ないとGPSの精度的にうまく動かない問題もあったりしますので、制度的なアプローチも必要になってくると感じています。

坊野さん:建設業も人材確保は大きな課題です。若い人たちはみんな都会に出ていきますし、業界的に厳しいイメージがあるので厳しい。建設業は技術の伝承が非常に大切なのでここにいかに若年層をとりこんでいけるかは大きな課題です。

(奥から手前に 川内商工会議所青年部 会長 小城護さん、薩摩川内市商工会市青年部部長 坊野誠一郎さん、公益社団法人川内青年会議所 副理事長 福永幸央さん)
(奥から手前に 川内商工会議所青年部 会長 小城護さん、薩摩川内市商工会市青年部部長 坊野誠一郎さん、公益社団法人川内青年会議所 副理事長 福永幸央さん)

中村さん:キーワードは”Connected”だと思います。先ほども話したようにやはり地方に仕事を持ってくることが重要ですが、ゼロから新たな産業を作り出すというよりはいまある産業をコネクトする(くっつける)、という視点がとても重要だと思います。

物流システムは企業・団体同士でシェアしたほうがいいし、もしかしたら共同受注したほうが全体として大きな仕事を受注できるケースも出てくる可能性があります。
また、新しい組織をつくるというよりは今ある複数の組織、それこそ商工会議所、市役所、市民などをConnectすることも重要だと思います。

そうしてみんながつながってくると、まちの大きな全体計画の中の一部を自分が担っていると思えるようになります。そうすれば仕事にワクワク感が生まれるはず。家を一軒たてることも素晴らしい仕事ですが、その家を作る事を通して、まちをつくっっている、と思えればそのワクワク度はもっと大きくなるはずです。

久保さん:そうですね。市民の方々が、携わってよかった、という喜びを感じていただけるようにしたいです。そして同時にきちんと儲かる仕組みを作っていきたいです。

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中村さん:国がスマートシティ関連でいい予算を組み立てています。市民の人を巻き込んでみんなで申請内容を考えて応募したらどうでしょう。国の予算を獲得することはとても難しいことですが、それをみんなで一丸となってやっていくことは意義があると思います。

中村さん:会津若松ではプラットフォームつくるのに何年もかかりましたが、薩摩川内市にもそれをシェアして使ってもらえたらいいと思うんです。うまくいっているプラットフォームなどはどんどん使ってもらって地域同士もいろいろシェアしながら、Connected、つながってやっていければよいと思います。

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スマートシティへの取り組みははひらたく言えば、いいまちをつくっていくための知恵の出し合い。データを使っていかに市民が参加するか、が重要ということが今回の中村さんのお話での大きな気づきとなりました。UDSではそのための対話の場をつくり、薩摩川内市の地域産業と先端技術を組み合わせた「スマートなまち薩摩川内市」に向けて引き続き取り組んでいきます。

開催後のお声では「ぜひこういう機会を今後も開催してほしい」、という声もいただきました。UDSとして今後も地方と東京だけではなく、地方と地方をつなぐ動きも積極的に展開します。

中村様、ご参加いただいたみなさま、また開催にあたりたくさんのご協力をいただいた薩摩川内市のみなさま、本当にありがとうございました。