10月27日に日本橋の室町テラスで開催された、東京ビエンナーレ2020プレイベント「水都・東京/日本橋の未来アイデア実現会議」に会長の梶原が講評者として事務局よりお招きいただきました。
東京ビエンナーレとは
東京ビエンナーレ2020は、自分たちの文化を自分たちの場所でつくっていくことを目指し、東京の北東部エリアを中心に公共空間や学校、水辺などを活用して開催予定のアートイベント。
そのプレイベントとして開催されたのが、研究者やアーティストなど幅広い12組の提案者の想像力でリアルな東京の未来を描く今回のクリエイティブトーク。「水都」をキーワードに、未来のビジョンをプレゼンし候補アイデアの中から東京ビエンナーレのプロジェクトとしての実現可能性を探ります。
アート、コミュニティ、都市計画、市民活動、観光、生物研究、移動手段、など提案の切り口はさまざまに、それぞれが目指す東京の姿へのプロジェクト提案が行われました。梶原を含む8名の講評者の皆さんは、その提案を聞き、様々な角度から実現化に向けた質問やアドバイスを行います。
登場した提案者、講評者はジャンルも多彩な下記の方々。
提案者:(敬称略)
岩本唯史(水辺総研代表)
リー智子(アーティスト)
加藤文俊(社会学、慶應 SFC教授)
佐々木大輔(Bascule Inc. Communication Planner / nihonbashiβ Producer)
セキユリヲ(デザイナー)
倉成英俊(電通Bチームリーダー)
石川智士(東海大学教授、総合地球環境学研究所客員教授)
中島伸(都市デザイン、東京都市大学)
オンデザインパートナーズ+ミホ・マゼリエウ(MIT Urban RISK Labディレクター)
田中元子(グランドレベル)
栗栖良依(パラ・クリエイティブプロデューサー、SLOW LABEL)
関治之(Code for Japan 代表理事)
講評者:(敬称略)
梶原文生(UDS株式会社代表取締役会長)
工藤哲夫(日本橋地域ルネッサンス100年計画委員会 水辺研究会 会長)
平野しのぶ(Fortress Investment ディレクター)
伏谷博之(タイムアウト東京代表)
牧野友衛(トリップアドバイザー代表取締役)
小池一子(東京ビエンナーレ2020 総合ディレクター、クリエイティブディレクター)
中村政人(東京ビエンナーレ2020 総合ディレクター、アーティスト)
「水辺」をキーワードに、12の提案
会場では提案者と講評者が一緒になり中央の席につき、観客がそれを囲む形でトークがスタート。
岩本唯史さん/ 水辺総研代表
水辺の活性化を中心にまちづくりの計画・設計などを行う水辺総研。
提案テーマ「水辺を(まちを)自分ごとのように思う人を増やす」
これまで、河川は管理されて市民は近づけない存在だったが近年は規制緩和もあり、民間による企画が進んでいます。誇りを持てるまちにする機会に、たくさんの人が関わり、どんどんポジティブな輪が広がっていくことを目指しています!
プレゼンでは、フランスで街中の川辺に居場所を作るため砂浜が作られたという珍しい事例をはじめ、水辺を中心に居場所づくりが行われている国内外の事例が紹介されました。
発表の終わりに、梶原からコメントをさせていただきました。
梶原:個人的に、学生時代はボート部に所属していたので水辺に親しんできたので思い入れのある場所でもあります。
日本の人口が75年後には半分になるという予測がありますが、豊かに暮らせるチャンスでもあると考えています。私たちUDSではホテルの企画・設計・運営も多く手がけているので、観光業の差別化にもなる水辺での"ボートホテル"をやってみたいという考えがあります。岩本さん、可能性はありそうでしょうか?
岩本さん:
ありがとうございます!公共施設から「どうにか活用できないか」「ホテルにできないか」という相談は多く受けます。ですがなかなかマッチングできていない、という現実があるのが実情です。ぜひ機会を設けたいですね、よろしくお願いします!
提案はそのほかにも、
・都議会を使って、世界最大の市民参加型ブレスト会議を開催する「都議会2」
・東京のトラム復活、単なる移動手段ではなく価値創造装置としてとらえる「TOKYO TRAM TOWN」
・まちに居場所を作る「TOKYO BENCH PROJECT」
など、時に笑いに包まれたり活発なディスカッションを交えながら、次々と個性豊かな提案が続きました。
それぞれの提案で共通していたのは、"東京をより良いまちにするために、市民が自ら「自分ごと」として考え取り組むためにはどうすれば良いか"という視点。そして"観光客を集めるためだけではなく、そのまちに住む人が自分のまちを誇れるようにするにはどうすれば良いか"という視点でした。
東京ビエンナーレ2020に向けて
会の終わりは、東京ビエンナーレの総合ディレクターを務める現代美術家の中村政人さんと、クリエイティブディレクターの小池一子さんから、2020年の開催向けてのメッセージで締めくくられました。
小池一子さん:
東京ビエンナーレは行政の大きなお金が動くものとは違い、草の根から始まっていくようなもの。今日はこんなに多くの、血の通ったアイデアが見事に集められて今日皆さんにお会いできたこと、すごく良かったと思います。東京ビエンナーレは"心を込めて作った"という動きでありたいと個人的に思っています。これからの方向が見えた気がします。
中村政人さん:
東京の時間と空間の豊かさ。これは次の子供の世界にもつながっていくといいと思っています。このような機会が今までのアート界にはあまりなかったことが残念。このステップを今日で終わらずに、次のビエンナーレを作っていきたい。プロセスを体験し、成功を分かち合えるといいと思います!
今回のトークを通して、普段は一堂に会すことのない幅広いジャンルの刺激的な意見を聞くことができ、さらにその後の懇親会でも意見交換をしながら貴重な繋がりを持つことができました。東京ビエンナーレのみなさま、ありがとうございました。
東京ビエンナーレの開催は、来年2020年。東京オリンピックの直前の時期に、アートの視点から東京を盛り上げる大きなきっかけになることを楽しみにしています!