由縁別邸 代田

Blog 2021.3.30 都心に、山里のくつろぎを。
「由縁別邸 代田」開業ストーリー

2020年9月、小田急線世田谷代田駅に隣接する立地に開業した由縁別邸 代田。35室の客室に加え、箱根から運ぶ温泉を楽しめる露天風呂付の大浴場と茶寮、割烹からなり、おかげさまで連日たくさんのお客さまで賑わっています。
2021年3月26日には、エントランス向いに離れがオープン。スパトリートメント施設「SOJYU spa」と長期滞在向けレジデンシャルスイートを備え、都心での旅館体験をさらにお楽しみいただけるようになりました。
そんな由縁別邸 代田の開業の背景や特徴をご紹介します。

(後編はこちら)

線路跡地に現れた、まちにひらいた温泉旅館

由縁別邸 代田があるのは、かつて小田急線の線路だった場所。小田急線 東北沢駅〜世田谷代田駅間の約1.7kmが地下化され、地上に新たに生まれた細長い土地一帯は「下北線路街」として開発が進められました。その「下北線路街」には下北線路街 空き地BONUSTRACKSHIMOKITA COLLEGE などがつくられてきましたが、UDSはこの開発プロジェクトの全体構想、事業基本計画の策定から参画しており、由縁別邸 代田もその一環として計画されました。

▼2019年10月にオープンした「下北線路街 空き地」
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「下北線路街」の大きな方向性は「支援型開発」。外から大きなものを持ち込むのではなく、まずまちの人たちの声を聞き、まちに必要なものをつくるという考え方です。それによってまちの人たちの暮らしが楽しく豊かになることで、結果として下北沢一帯のまちの魅力が高まっていくことを目指しています。(企画担当 鈴木

小田急電鉄さんとともにまちの人の意見を聞いていくなかで聞かれたのは「世田谷代田のエリアに、昔は宿泊施設があったがいまはなくなってしまった。友だちや親戚が遊びにきたときに、近くに泊まれる場所があったらいいのに」という声。
では「下北線路街」のなかの世田谷代田駅の隣接地には、宿泊施設を計画したらどうだろう、という視点で検討を重ねました。

東京には「旅館」が多くはありません。都内から温泉地へ旅行に行くという癒やしの体験を、もっと気軽に、移動時間を気にせず楽しめる場があってもよいのではないか。下北沢からも徒歩圏内で、もともとお屋敷が多く落ち着いた雰囲気の代田エリアに、宿泊以外のお客さまでもご利用いただける「旅館」をつくることで、まちの楽しみ方が増やせるのではないか、と考えたんです。(企画担当 鈴木

このような背景のもと、宿泊いただかずとも旅館体験をお楽しみいただける、宿泊と温浴と飲食が複合した温泉旅館であり複合施設として、由縁別邸 代田が計画されました。

昔からそこにあったような佇まい、を目指して

由縁別邸 代田はUDSが展開する、その土地の”由縁”を大切にしながら、旅館を現代のニーズにあわせて編集する「由縁」シリーズの一つ。2019年にはONSEN RYOKAN 由縁 新宿が、2020年8月にはONSEN RYOKAN 由縁 札幌がそれぞれ開業していますが、それら2つがターミナル駅近くのビル型であるのに対し、由縁別邸 代田は落ち着いた立地に佇む低層施設です。

▼(左)ONSEN RYOKAN 由縁 新宿 と、(右)ONSEN RYOKAN 由縁 札幌
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日本旅館としての上質な空間やサービスにさらにこだわって展開する由縁別邸 代田では、新築でありながらも「昔からそこにあったような落ち着きのある佇まい」を目指し、同じく世田谷区にあった築100年以上の歴史ある茅葺屋敷から譲り受けた景石や古い建具を随所に用いています。

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施設の設計のタイミングでたまたまその屋敷を解体するという話を耳にし、壊される前に、と急いで見させていただいたことがきっかけとなって、趣のあるそれらを施設デザインに組み込んでいくこととなりました。(設計担当 高宮

屋敷のお庭に置かれていた都電の敷石の数々は、門をくぐってからエントランスまでの石畳に生まれ変わりました。

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屋敷の庭にあった景石はフロントロビーの飾り花の土台や中庭に。

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また、屋敷の玄関扉だったものは「茶寮 月かげ」へ。

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そこで暮らした人たちとともに時間を重ねてきたものが醸し出す風合いが積み重なり、由縁別邸 代田の独特の雰囲気が生み出されています。
施設の完成後、屋敷のオーナーさんには「あの石がこんなに立派に飾られて!」と、中庭やフロントに佇む石を見て大変喜んでいただきました。

お茶にこだわる「割烹 月かげ」「茶寮 月かげ」

本館の1階に位置する「割烹 月かげ」と「茶寮 月かげ」は、代田で晩年を過ごした歌人 斎藤茂吉の料理歌集「つきかげ」から命名。かつて茶業が盛んだった代田の歴史と文化を背景に、お茶にこだわったメニューを展開しています。

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昼間は喫茶、夜はバーとしてお楽しみいただける「茶寮 月かげ」では、「ほうじ茶プリン」や「自家製抹茶わらび餅」などお茶にまつわるメニューが多数。空間の中央には先ほどの屋敷の手水鉢を配置し、欅のハイカウンターやゆとりのあるソファ席など、コンパクトながらゆったりとお過ごしいただける空間です。茶審査技術段位最高位の「茶師十段」を2名有する、地元「しもきた茶苑大山」さんに一から美味しいお茶の淹れ方を教わったスタッフが、心を込めてお客さまをおもてなしします。

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「割烹 月かげ」では、日本各地の生産者を訪ねて出会った自然の恵み豊かな旬の味を、和食一筋の板前が真心を込めてお届け。なぐり加工を施した床は、靴を履いた上からでもその質感が感じられます。

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この割烹も、企画当初から地域のみなさんに日々のお祝いで使ってもらえるような場所にしたい、という思いがあり、カウンター席のほかにお庭を望むテーブル席や半個室など、使い勝手の良い多様なお席をご用意。また、良縁・縁結びの願いを込めてつくられた藁細工は、空間のアクセントになっています。

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ここまでで一旦前編は以上となります。後編では、由縁別邸 代田の大きな特徴である温泉や客室について、ご紹介していきます。