4月に開業した神保町ブックセンターで、「創造的読書」(クリエイティブ・リーディング)の考え方を27個の言葉にまとめた『Life with Reading – 読書の秘訣』を題材にトークイベントが開催されました。
ゲストは、著者である慶應義塾大学 井庭 崇さん、20代でパラレルキャリアを実践する正能 茉優さん、あかし ゆかさん、そしてUDS社長の中川 敬文の4名。読書のコツや楽しみ方をテーマに、参加者のワークショップも織り交ぜながら、これからの「本の読み方」について楽しみながら考えるイベントとなりました。
創造的読書(クリエイティブ・リーディング)とは?
クリエイティブ・リーディングの背景にある社会変化について、井庭さんが解説します。
変化のポイントは3つのC
Consumption
消費社会:モノやサービスが重要な時代
↓
Communication
コミュニケーション社会:どういう情報を持っているかが重要な時代
↓
Creation
創造社会:自分たちで自分たちのモノや仕組みなどを作ることができるようになる時代
これからの時代は「Creation=創造」社会。外から何かを持ち込むのではなく、自分たちで作り出すということが当たり前の時代。多様化、変化が激しい時代なので"作る"ということが重要になり、読書も創造性を刺激する読書に変化していくと言います。
読書の楽しみ方、27のコツ
ここからは、書籍でまとめられた27のコツを紹介しながら、実例も交えてトークを展開していきます。
「好きな読み方」
必ずしも机で読まなければいけないわけではなく、「声に出す」「寝転がって読む」など自分の好きな読み方を見つけよう
このコツについて、ゲストそれぞれの事例を紹介します。
井庭さん「鉛筆で書き込むことをしています。鉛筆だと濃淡をつけることもできるんですよ。」
お気に入りの鉛筆を手に、電車の中でもまっすぐ線が引けるコツを紹介します。
正能さん「私は体験に結びつけます。例えば川端康成の本を読もうと思ったとき、作者が執筆していたという旅館にこもって読書をしました!」
あかしさん「私は10冊くらい並行して読みます。カバンにはいつも2,3冊の本を入れていますね。持ち歩く重さはありますが、その瞬間に読みたいときに読みたい本を読める環境を大切にしています」
中川は、自分の本棚について紹介。
「本棚はアイデンティティーだと思っています。本棚に年度別にシール色別で並べたり、5段階評価にして、3までのものは捨てていくようにしています。読み終わった後のビジュアルで満足できるという点もありますね。」
会場が一体に、自分なりの読書のコツを語り合う
27のコツが描かれたカードを並べ、参加者たちが体験談や自分なりのコツを話します。
このグループでは「映画と原作本」についての好きな読み方が話題に。ある参加者は「原作本を読んでから、映画を観ることにハマっている。映画が先だと俳優さんの顔が頭に浮かんでしまうので、原作を読んで想像を膨らませてから観るようにしています」と話します。一方で「自分は映画を読んでから原作本を読む派です!映画で描かれていない行間が、本だと描かれているので、そこを楽しんでいます」という声も。読書が好きな方が集まると、切り口を設定するだけで次々とこだわりや新たなコツが飛び交いますね!
これからの読書とは
おわりに、井庭さんからこれからの読書についてのお話を。
「『本を読むといい』という読書推進ではなく、『本を読むのは楽しい』ということに共感し伝播されていくと、読書が広まるのではないかと思っています。読書を語ろうと思っても、自分で論点だすのは難しいのでこの27個のコツがきっかけになるといいですね。」
さらに、井庭さんの読書に対する考え方を象徴する言葉が紹介されました。
社会とはコミュニケーションの連鎖である。
意識が変わっても何も変わらない、コミュニケーションが変わって初めて社会が変わる(ニクラス・ルーマン)
読書に対しての意識が変わっても何も変わらないが、その取り組み方=コミュニケーションが変わると、読書を楽しむ人が増えるのではないでしょうか。
これからも神保町ブックセンターでは、本をテーマにした様々はイベントを開催していきます。最新の開催予定はこちらからチェックしてみて下さい!
神保町ブックセンター イベントページ
開催概要
Life with Reading
2018年6月19日 19:00 - 21:00
井庭崇×正能茉優×あかしゆか×中川敬文
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